一日3食の習慣は、つい最近始まったばかり
1935(昭和10)年、国立栄養研究所の佐伯ただす医学博士が「日本人男性が一日に必要とするエネルギーは2500〜2700キロカロリーである」「それを2食で取るのは難しく、3分割しバランスを取ることで、最も健康に生きることができる」と提唱した。
「空腹」こそ最強のクスリより
佐伯博士は、世界初の栄養研究所や栄養士養成施設を開設し、栄養学の父と呼ばれています。さらに研究によって炭水化物、たんぱく質、脂質の「三大栄養素」が必要なことを提唱した人物です。
一日3食は胃腸を疲れさせ、体の不調を招く
人体において、食べ物が胃の中に滞在する時間は平均2〜3時間、脂肪分の多い物だと4〜5時間程度。また小腸は、胃から送られてきた消化物を5〜8時間かけて分解し、水分と栄養分の8割を吸収し、大腸は小腸で吸収されなかった水分を15〜20時間かけて吸収します。
「空腹」こそ最強のクスリより
一日3食の食事だと、朝食から昼食までの間隔は4〜5時間、昼食から夕食までの間隔は6〜7時間程度となり、前に食べたものがまで胃や腸に残っているのに次の食べ物が運ばれて胃腸は休む暇もなくなります。
胃腸が疲弊することで起こる体の不調は次のような影響を与えます。
- 消化器官が衰え、体に必要なビタミンやミネラルの吸収が十分にされず、肌や髪のコンディションが悪くなる。
- 消化しきれない食べ物が腸内に残り、それはやがて腐敗し、アンモニアなどの有害物質を発生させる。
- 腸内環境が悪化すると悪玉菌が優位になり、便秘や下痢などが起こりやすくなる。
食べ過ぎはDNAや細胞をも傷つける
食べ過ぎは、体内の活性酸素を増やします。活性酸素には「ものを酸化させる(錆びさせる)力があり、それによって体内に侵入したウイルスや異物などを殺菌・排除しますが、一方で、活性酸素の攻撃は身内(体内のDNAや細胞)をも傷つけます。
「空腹」こそ最強のクスリより
活性酸素は呼吸によって取り込まれた酸素の一部(約2%)が通常より活性、つまり「他の物質を酸化させる力が非常に強い酸素」の働きを持ちます。
原因にはストレス、紫外線、食べ過ぎなどが挙げられる。
活性酸素が必要以上に増えると細胞の老化が促進し、肌のシワやシミの原因となったり、癌や脳梗塞の病気の引き金となります。
「空腹」が人本来の生命力を引き出す。「オートファジー」という奇跡
最後にものを食べて10時間ほど経つと、肝臓に蓄えられた糖がなくなって脂肪が分解され、エネルギーとして使われるようになります。そして16時間経つと、今度は体の中で「オートファジー」が機能し始めるのです。
「空腹」こそ最強のクスリより
オートファジーは日本語で自食作用や自己貪食という訳語が使われます。
私たちの体は約60兆個の細胞でできており、主にタンパク質でできています。日々の生活で古くなったり壊れたタンパク質は体外に排出されるが、排出しきれないものは細胞内に溜まっていき、細胞を衰えさせる原因となります。
しかし、何らかの原因で栄養が入ってこなくなると、体は生存するために、「体内にあるもの」でタンパク質を作ろうとして古くなっり壊れたタンパク質を集め、分解し、新しいタンパク質を作るのです。
つまり、「オートファジー」とは古くなった細胞を新しく生まれ変わらせる仕組みなのです。
本書でもあるようにオートファジーは最後に物を食べてから16時間ほど経過しなければ活性化しないため、「空腹」の時間を作ることで内臓や細胞の疲労をリセットすることができます。
オートファジー実践方法
半日何も食べないと聞くと耐えられないと思うかもしれません。しかし、私たちは「睡眠」をしているときは何も食べ物を口にできません。つまり、睡眠8時間+8時間=16時間でオートファジーの恩恵を受けられるのです。実践するにおいていくつかのルールがあります。
ルール
- 水分の摂取はしても良い
- 最初は食事の際は食べるものは自由
- 空腹の時間はナッツ類は食べても良い
最初のうちは空腹に耐えられなく、終わった途端ご飯や麺類、糖質の多いものを食べてしまいがちですが、「空腹力」が鍛えられれば少しずつドカ食いをすることは無くなってくるはずです。
ナッツ類は特に味付けされていない素焼きであれば、低糖質で塩分が少なく、良質な脂肪が取れます。さらに、ナッツに多く含まれる不飽和脂肪酸にはオートファージーを活性化させることが研究段階だがわかってきた。
大事なのは「無理なく続ける」ことだ。
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